PPP/PFIの源流(豪州_1)
1. 豪州のPPPの系譜と現状
オーストラリアは、英国に続き、PPPモデルを積極的に導入した国の一つである。1980年代後半から1990年代初頭にかけて、オーストラリア各州政府はインフラ整備のための資金調達手段としてPPPを採用し、特にビクトリア州やニューサウスウェールズ州がその先駆者となった。
豪州のPPPは、英国のPFIを基にしつつ、より柔軟なリスク分担や契約形態を採用し、官民の協力関係を強化する点で特徴的である。特に、官民が対等な立場で交渉し、リスクを合理的に分担するモデルが確立されている。
2. 豪州PPPの成功事例
- メルボルンのシティリンク高速道路: 1990年代後半に建設された都市高速道路で、PPP方式による資金調達と運営が成功。
- シドニーのウェストコネックス高速道路: 長期的なPPP契約を活用し、資金調達と維持管理の効率化を実現。
- 病院・学校プロジェクト: ビクトリア州を中心に、医療・教育施設の整備でPPPが活用されている。
3. 課題と今後の展望
オーストラリアのPPPは、柔軟な契約形態と透明性の高さで評価されているが、一部のプロジェクトではコスト超過や契約上の問題も指摘されている。今後は、持続可能なインフラ開発の観点から、環境負荷の少ないPPPプロジェクトやデジタルインフラ整備への応用が求められている。